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更新料 無効 ・・・?

更新料についての判決とその解釈

(全日情報 ふれあい 第62号より)


[大阪高裁 平成21年8月27日判決について]

判決の概要(原判決取消し・請求一部認容の自判)

事業者を賃貸人、消費者を賃借人とする消費者契約である建物賃貸借契約に付された更新料支払の特約を、消費者契約法10条により無効であるとして、賃借人の更新料返還請求を棄却した原審・京都地裁平成20年1月30日判決に対する控訴審判決で、原判決を取り消し、賃貸人に対し、消費者契約法施行後(平成13年4月)以降に支払済みの更新料40万円(その他に敷金5万5,000円)の返還を命じた賃借人勝訴の逆転判決。判決理由は.後述のア~オである。



[京都地裁 平成21年7月23日判決について]

判決の概要

事業者を賃貸人、消費書を賃借人とする普通借家契約に規定された更新料支払特約(当該事案では、約11万円の支払)を消費者契約法10条により消費者の利益を一方的に害するものとして無効と判断して、原告(消費者)の更新料相当額返還講求を認容する判決。判決理由は.大阪高裁の判決とほぼ同じ内容である。



大阪高裁も京都地裁もいずれも、事業者が賃貸人で、消費者が貨借入である消費者契約である場合の建物賃貸借契約(定期借家契約ではなくて、普通借家契約である)の更新料支払の特約について、消費書契約法10条に基づいて無効と判断した。

消費者契約法10条とは、民法・商法・その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費書契約の条項であって、民法1条2項(信義誠実の原則)に規定する基本原則に反して、消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

簡単に説明すると、公序良俗に反する違法性が明確な事項は規定しても効力を認められないが、更新料特約は、賃貸借契約の一条項であり、本来は、契約自由の範囲内での規定であり、契約期間が満了したときに当事者間で、賃借人がさらに同じ賃貸借契約の継続を望む場合、その対価として更新料を払ってもらうという趣旨であるというのが賃貸人側の主張とされている。


しかし、消費者契約法10条は、このような当事者間で決めてもよいとしている事項についての規定で、かつ消費者の利益を一方的に害する規定が消費者契約に規定されている場合は.無効だとしている。


なぜ、消費者契約法10条の「消費者の利益を一方的に害する」との規定が重要であるかというと、借地借家法30条も.借地借家法で定められている事項に関して、賃借人に不利な特約は無効とすると規定しているので.両者の関係が問題となるからである。


それでは、借地借家法に基づいて賃借人に不利益な特約は無効とするという場合、具体的にどういう規定が借地借家法30条に基づいて無効とされているか。

要するに、期間が満了して定期借家契約でないのに、賃貸人が当然のように賃借人に退去と言える、正当事由がなくても更新を拒絶できる、このような特約は借地借家法で規定された強行規定に違反するので、借地借家法30条により無効である。

ところが、この大阪高裁の8月27日と京都地裁の7月23日及び9月25日の3件の判決は、消費者契約である普通借家契約の更新料特約を消費者契約法10条に違反するから無効だと判断した。

この大阪高裁の判決文アからオまで説明していくが、おそらく関東地区で不動産業を営んでいる方が関心を持つのは、アであろう。

判決理由:ア「本件では、更新料は1年ごとに家賃約2カ月分(2.2カ月分)であり高額である」

更新料は、期間1年で、賃料月額約2カ月分(2.2カ月分)であった。これは、関東や東京では、高額だと感じるであろう。関東の場合、更新期間2年から3年、更新料は賃料月額1lカ月分という場合が主流である。

ところが、大阪高裁の判決の事例と京都地裁の7月23日判決の事例では、いずれも契約期間1年で、更新料は賃料月額約2カ月分。これについて大阪高裁は、消費者契約法10条から、消費者である賃借人に一方的に不利益であると判断。


1回の更新料が10万円で、賃料の約2カ月分であり、月額賃料は5万円である。賃料5万円×12カ月で60万円、契約期間1年更新で、更新料は10万円。すると1年間の支払総額は70万円である。これを12カ月で割ると、賃料月額約6万円相当である。

実際は、6万円の月額賃料を5万円にみせかけていて、消費者をうまく言いくるめているのでないか、と大阪高裁・京郡地裁が感じている点ではないかと推測できる。これが消費者契約法の主旨からすると、一般消費者が分からないまま契約しており、一方的に不利益だと判断できるのだ・・・という一番重要な点である。


判決理由:イ 「更新料を更新拒絶権放棄の対価とする主張は、借地借家法では普通借家契約の更新拒絶は、正当事由がある場合に限られている(借地借家法28条)ので徴収理由にならない」

これはどういうことかというと、借地借家法では、賃貸人が更新を拒絶できるためには正当事由が必要であるということ。

借地借家法28条とは、建物の賃貸人による26条1項の通知または建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として、又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができないとする。


つまり、更新拒絶は、正当の事由があると認められる場合でないと認められないとある。大阪高裁も京都地裁も、このことを重要視している。更新料は更新の対価としてもらっているというのは、賃貸人側の言い分であり、これを大学の先生や東京の裁判所も認めていたが、大阪高裁は、更新料をもらうのは更新の対価だというが、もともと賃貸人は更新拒絶できないのではないか、と判断しているのだ。


判決理由:ウ 「更新料に賃料補充の性質があるとの主張は、特約として付された更新料は家賃増減と連動する契約になっていないので理由にならない」

更新料で賃料を補充する・・・要するに更新料とは、賃料月額5万円であるが、更新料を取ることで年間賃料70万円、つまり月額質料6万円となってしまう。

これをまともに提示すると高額であると思われてしまうため、また契約したいという賃借人があった場合を考えて、賃料を平準化するために更新料をもらっていると、賃貸人側が主張した。

判決の判断は、更新料とは家賃が増えたり減ったりするにもかかわらず、これに連動しておらず、賃料の補充との主張は成り立たないという理由だ。この判断には、多少疑問が感じられる。更新料が定額であったとしても、だから賃料の補充にならないということにはならないと思われる。

賃借人側としては、逆に定韻の場合、更新料が賃料2カ月分だと予想しやすい。そのため毎月の賃料分は少し安くなっており、更新を希望した場合は賃貸期間が長くなるのだから、更新料を払うことで賃料を平準化するという趣旨があるのではないか、という主張を賃貸人側はしたのだが、それは通らなかった。


判決理由:エ 「借地借家法28条が、普通借家契約では正当事由がなければ更新拒絶できないことを賃借人に十分説明していない」

先ほど述べたように、もともと普通借家契約では更新料特約などなくても、賃貸人は正当な事由がないと、更新拒絶はできないにもかかわらず、賃借人がその点を説明したのか、もし説明してあれば、賃借人は更新料を払いたくないと言うのではないかという判決理由である。

賃借人側としてみれば、お金を払う金額が少なければ少ないほどうれしいことである。新たに賃貸契約を交わすとして、「賃貸人側に、正当事由がなければ更新拒絶できませんけれども、更新料としてお支払いいただけますか?」となった場合、払いますと同意する人はいないだろうという判断である。


判決理由:オ「更新料を併用して賃料を一見少なく見せることは消費者契約法の精神に照らして許されない」

更新料と賃料を併用して、賃料を外見的に安くしているというのが消費者契約法では、消費者にきちんと説明していないということを示していると判断されている。つまり、消費者の利益を一方的に害するとして、消賢者契約法10条に反するという判断である。これが大阪高裁の判決、7月23日の京都地裁、そして、9月25日の京那地裁の判決に共通しているといえる。






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